IV.ペナルティー及び失格
IV−A.一般事項
競技フィールドの内外において競技者の行動が引き起こす様々な状況により、 ペナルティーの適用や失格となる場合がある。 ペナルティーは、ほとんどの場合において競技フィールド上での出来事に対して適用されるが、 ステージイン・エリアへの出頭に遅刻、スポーツマンらしからぬ行為、 または安全違反等に対して競技者が失格となる場合もある。 本章では、こうしたペナルティーや失格がどのような理由で、どのように適用されるかについて、 その詳細を述べる。
IV−B.クラッシュ、衝突及び接触
競技種目の進行中に、 意図せず起きた地上または空中でのクラッシュ、 意図せず起きたカイト同士またはカイトとラインの衝突、 そして、意図せず起きた地面との接触に対してペナルティーが適用される。 このためジャッジは、演技中に起こったクラッシュ、衝突、 そして接触の数をそのスコアシートに記録する必要がある。
- ジャッジによるクラッシュ、衝突、及び接触の記録手順:
- 採点後の検討のために、違反行為の起こった回数を、 スコアシート上のどこかに印(正の字等)を付けて控えておく。
- ジャッジ・パネル(審査団)により強制ペネルティーが審議される前は、 当該演技に対する素点だけを記録。
- 他のジャッジとそれぞれの付けた印の数を検討する。
- それから、主審は審判団員から報告を受けた各々の審判員の控えた違反回数の 最も共通する回数を用いて、当該演技に適用する強制ペナルティー減点数を 確定する。 もし、全員のジャッジの記録がまちまちの場合は、それらの平均をとる。
- 各ジャッジは、先述の強制ペナルティーを含めて(減点数を差し引いて) b.で記録した素点を調整し、スコアシートの記入欄に最終スコアとして記録する。
- 以下にクラッシュ、衝突、及び接触に関するペナルティーを規定する:
- 規定コンパルソリーにおけるグラウンドタッチ(地面との接触):
強制ペナルティー1点減点
- 規定コンパルソリーにおけるグラウンドクラッシュ(地面へ墜落、動きが静止した状態):
当該図形は強制的に0点となる
- 1)コンパルソリー・フィギュア中にランディング(着地)が含まれている場合、以下の条件下においては強制的な0点は課せられないものとする。
個人:
ランディングへの試みが始まった後に起きたクラッシュ
チーム:
メンバーの1人以上がクラッシュする前に全てのメンバーがランディングへの態勢に入って試みを開始していた
チームによる時間差ランディングの場合:
メンバーがそれぞれのランディングの態勢に入って試みを開始した後に起きたクラッシュ
- 自由演技中に起こり、ジャッジ・パネルにより確認され記録された全ての意図されない、クラッシュ、衝突、または接触には、以下に挙げる強制ペナルティー減点が課せられる。
- バレー演技に関しては、「実行力(Execution)」の項目で:
強制ペナルティー0.2点を減点する。
- 規定フリースタイル演技に関しては、「技術点(Technical)」の項目で:
強制ペナルティー0.2点を減点する。
規定フリースタイルまたはバレー演技中にカイトをクラッシュさせた場合、 競技者にはリラウンチ(再離陸)するために45秒間が与えられる。 この時間を判定するために、フィールド・ディレクターは予備のストップウォッチを携帯する。 競技者は、カイトのリラウンチを行うために、各自のラウンチクルーの手を借りることが出来る。 もしも、カイトを45秒以内にリラウンチさせることが出来なかった場合、 その競技者は自動的にその種目での競技を終了したものと見なされる。
チーム及びペアーは、単一体と見なされるために、 メンバーの1名以上がリラウンチ出来ずに墜落した場合、 そのチームは当該種目での競技を終了したものと見なされる。 また、1名以上のメンバーがクラッシュし、45秒の計測が行われている期間中、 最初のメンバーがリラウンチする前に、更に1名以上のメンバーがクラッシュした場合、 クラッシュしているメンバーは全員、当初の45秒以内にリラウンチを行わなければならない。 即ち、新しい45秒周期は、メンバー全員が空中に揃った時点で初めて更新されるものとする。
規定種目において、フリースタイルがコンパルソリー・フィギュアの前に実施される場合には、 上記の事柄から競技を終了したと見なされるのはフリースタイルの部分のみであり、 競技者は引き続きコンパルソリー・フィギュア部分の競技を演技することが出来る。
- 45秒ルールのペナルティーは以下の通り課せられる:
- カイトを45秒以内にリラウンチ出来た:
- 規定種目:
強制ペナルティー0.2点を「技術点(Technical)」の項目で減点する。
任意ペナルティー0.1〜1.0点(リラウンチ出来たクラッシュによる演技全体に与える影響の程度を各ジャッジが個別に判定)を「芸術点(Artistic)」の項目で減点する。
- バレー種目:
強制ペナルティー0.2点を「実行力(Execution)」の項目で減点する。
任意ペナルティー0.1〜1.0点(リラウンチ出来たクラッシュによる演技全体に与える影響の程度を各ジャッジが個別に判定)を「振付け(Choregraphy)」の項目で減点する。
- 最低許容時間以内において、カイトを45秒以内にリラウンチ出来なかった:
- 規定種目:フリースタイル部分のスコアが強制的に0点となる。
- バレー種目:バレーのスコア全体が強制的に0点となる。
- 最低許容時間を経過した後、カイトを45秒以内にリラウンチ出来なかった:
- 規定種目:強制ペナルティー0.2点を「技術点(Technical)」の項目で減点する。
- バレー種目:強制ペナルティー0.2点を「実行力(Execution)」の項目で減点する。
- 当該競技種目の最大許容時間に対して時間が45秒未満しか残されておらず、カイトをリラウンチ出来なかった場合には、強制ペナルティー2点は適用されず、それに代わり以下が適用される:
- 規定種目:強制ペナルティー0.2点を「技術点(Technical)」の項目で減点する。
任意ペナルティー0.1〜1.0点(リラウンチ出来なかったクラッシュによる演技全体に与える影響の程度を各ジャッジが個別に判定)を「芸術点(Artistic)」 の項目で減点する。
- 2)バレー種目:強制ペナルティー0.2点を「実行力(Execution)」の項目で減点する。
任意ペナルティー0.1〜1.0点(リラウンチ出来なかったクラッシュによる演技全体に与える影響の程度を各ジャッジが個別に判定)を「振付け(Choreography)」 の項目で減点する。
IV−D.インプロパー・エンディング(不適当なエンディング)
ルーティーンとは、ひとつの完成された作品として − 始まり、中間、そして終わりを踏まえて構築されたものでなければならない。その辺りを上手にデザインして実行された演技においては、そのルーティーン全体を通じてエンディングをも含めて、確たるテーマを見て取ることが出来る。演技を見終った後に残る印象の善し悪しは、ルーティーンの結末によって決まることが多い。このため、適切なエンディングを構成し、実行することが、ルーティーンの他の部分と同じだけ大切となる。
競技者及びジャッジのためのガイドライン(指標)を以下に記す:
- 事例
- バレー − 音楽が終了し、フィールド・ディレクターによって最大許容時間が満了したことを告げる「タイム」のコールが掛かった、あるいは演技者またはチーム・キャプテンによって「アウト」コールが出された。にもかかわらず、そのルーティーンが音楽の呈するムード、アクセント(音の強弱)、情感を適切に表現していないとジャッジが感じた場合、ヘッドジャッジは、他のジャッジがこの考察に同意するかどうかの評決を取る。大多数により同意を得た場合には、満場一致の判定として当該演技はインプロパー・エンディングであったと見なされ、ペナルティーが課せられる。ただし、同意を得られなかった場合には、インプロパー・エンディングによる減点は行わないものとする。
- 規定(フリースタイル)− フィールド・ディレクターから「タイム」のコールが掛かった、または演技者から「アウト」コールが出されたが、ジャッジ・パネルの大多数がエンディングに演技を最終的に締めくくる意図が示されなかった、と感じた場合、当該演技はインプロパー・エンディングを有するものと見なされる。
- インプロパー・エンディングに対するペナルティー:
注:この厳しいペナルティーの適用は、ジャッジ団による満場一致の判定を持って行わなければならない。
- バレー − 強制ペナルティー0.9点を「振付け(Choreography)」 の項目で減点する。
- 規定 − 強制ペナルティー0.9点を「芸術点(Artistic)」 の項目で減点する。
(本ペナルティーが、各種目の最終スコアに与える影響は以下の通りである:
バレー種目に関しては、 合計スコアの5.4%が減点対象となる。 規定種目に関しては、フリースタイル合計スコアの減点対象となるのは個人が2.25%、 及びチームは3.21%となる。)
IV−E.失格
競技者は、以下に挙げる全ての理由により失格となる:
- ステージイン・エリアまたは競技フィールドへの出頭の遅刻(ステージイン・エリアへの出頭、V.G.項を参照)
- 競技フィールド上にて、フィールド・ディレクターからの90秒以内の演技開始の 指示に従わなかった場合(準備時間、V.E.項を参照)
- 安全違反(安全、U.E.項を参照)
- 境界線違反(安全、U.E.項を参照)
- スポーツマンらしからぬ行為(下記参照)
IV−F.スポーツマンシップ
競技者は、スポーツマンらしく行動しなければならない。競技を乱すようなことや、ジャッジに影響を与えようとしてはならない。混乱を招くような行動をとる競技者は、ジャッジ、ピットボス、フィールド・ディレクター、イベント・オーガナイザー、またはセーフティー・マーシャルによって失格とされる場合がある。
競技者には、スポーツカイトの家族志向的なイメージを損なわないように、「総合的」に品性を感じさせる演技を提示する責任がある。
IV−G.境界線
全ての練習フィールド及び競技フィールドに制定された境界線は、「保全」のために存在するものである。境界線は、競技フィールドの外側に一般人を、内側に競技者を止どめる目的で使用される。静止している人間と動いているカイトの接触により、非常に危険な事態を招く場合があるため、関係者には、境界線を保険として活用して、人身事故やそれに掛かる訴訟の可能性を未然に防ぐことが強く奨励される。
フィールドの地形によっては、境界線または失格ラインを1つしか制定出来ないこともありうる。この場合、もしも競技者またはチームがその境界線を越えてカイトをフライトすれば、その競技から即座に失格となる。しかし、カイトが境界線を越えた際に観客に怪我を負わせてしまってからでは全てが手遅れである。このため、最も外側の境界線は、失格ラインから少なくとも5メートルの距離を置いて制定することが奨励される。
II章B.4.項に、最小競技フィールドサイズ及び3連から成る境界線の設定が提言されている。そこに書かれたフィールド構成では、正規のフィールドサイズを維持したまま、競技と観客との間に5メートルの緩衝地帯が設けられている。この構成においては、中央境界線が失格ラインとなる。この境界線を越えてフライトした場合、競技者またはチームは失格となり、カイトを降ろしてフィールドから速やかに退場するよう指示される。(付録 Iを参照)
IV−H.リーグ形式のペナルティ
- 一つのマヌーバーが後ろ向きに飛行した場合、そのコンパルソリーの得点はゼロとなる。
- いくつかのマヌーバの順序が狂ってしまった場合、 正しい順序より先に飛行したマヌーバーには得点が与えられるが、 後に飛行したマヌーバーには得点が与えられない。 この後に飛行したマヌーバーは「変わり目(トランジション)」の一部とみなし、 連続スコアーに含む。
例:競技者がマヌーバー1234の順番の代わりに1324と演技してしまった場合、 ジャッジは1と3と4に得点を与え、2には得点を与えない。 この2は3から4への「変わり目」と見なす。