column 3D の眼差しVol 4
2003年1月作成
相良です、今回は個人規定です

カイトを覚えたての頃は、バレーは無理でも規定で頑張ってみようと考えてる方がおられるのでは?
しかし、いざ大会に出てもオープンクラスではなかなか勝ち抜けず、悩んでる方も多いと思います
そんな方にちょっとでもヒントになればと思い、私のジャッジ経験を踏まえて書きます

ジャッジの時の要点が幾つかあります
  1. 風の状態、ウィンドウィンドウがよく見えているか
    私は色々な所でフライトを楽しみます
    各大会地域はもちろんのこと、新たな場所を開拓して、その状況に応じたフライトをしてます
    そこで必要な事は、風は常に同じ状況ではなく、それに応じて飛ばさなければならないということです

    例えば、風は真っ直ぐに吹いて、ウィンドウィンドウは半円と考えがちですが、実際に飛ばしていると何故か思ったところに飛んでくれないと感じたことはありませんか?
    これは各周辺の建物の影響はもちろん、天候や、時間帯によっても風は絶えず変化しているからです
    これをどう把握して補うかです、 文章や言葉で表すと難しいですが、フライトするときはウィンドチェックを怠らないことです

    私の場合は大体パターンは決まっていて、次のとおりです

  • 左右限界の確認
  • 上下限界の確認(ここでの「限界」とは、自分が100%コントロールできる有効範囲です)
  • ランディングの確認(どの位置、どの進入角度でもランディングできるか?)
  • 各トリックの確認(自分の得意とするトリックを優先的に確認します)
  • フルスピードと、ロースピードの確認(ステップを駆使して、スピードコントロールの範囲を確認します)

    約10分ほどかかりますが、本番前には最初の3項目まで確認してから演技に入るようにしてます

    ここまでやると大体の風の状態が見えてくるので、それを補うことを考えます
    個人演技の場合は、最小でも90mX90mのフィールドがありますが、この広さをどのように使うかで勝敗が決まると思います
  1. カイトの特徴を良く理解しているか
    最近のカイトは性能向上から、しっかりウィンドエッジまで飛んでくれますが、それに伴ってテクニックも要求されています
    特によく見るのはターンと直線の正確さです
    一番わかり易いのはグランドパスで、地面ぎりぎりのラインや、ウィンドエッジでの直線の正確さはジャッジにもアピールできるポイントです

    規定の場合、当然それなりのカイトをチョイスしますが 「これはお薦め」というのはあっても、逆に「これはだめ」というのは存在しないと思います
    重要なのはその欠点を理解して補うことです、例えば直線が苦手な人はどうしたらまっすぐになるか考えましょう

    ここで1項目の風を知ることが出てきます
    コンペ用のカイトは、風の影響を受けやすいタイプと、風を一回ためたらホールドし続けるだけで真っ直ぐ飛んでくれるタイプ等、色々ありますが真っ直ぐに飛ばないものは、まずありません
    これを理解するだけでも、とても時間がかかります

    前回のカイトチューニングのコラムでも書いたとおり、カイトを購入してから性能を知るだけで1年を費やす場合もあります
    グランドバスをず~とやってみたり、ランディングばかりをず~とやったりもします
    これを理解・体得出来れば、もう勝利は目の前です

  2. マヌーバを良く理解しているか
    今はどこの大会でもSTACKの規定が主流ですが、ノービスからオープンにクラスアップした場合、マヌーバが難しくて敬遠したくなる方も多いのでは?

    これは練習方法にも問題があります、私は、いきなり最初から描こうとはしません
    まず、そのマヌーバの要点や注意事項を考えます
    例えば「オクタゴン」では、インとアウト側が必ずズレる傾向にあります
    そのため最初に円を描いてみて、このズレを最小限に押さえる練習します
    次にターンは、あまり力まずにルーズターンで大まかなバランスと、タイミングを考えます
    その後、角を少しずつメリハリを出していきます

    8角が描けない場合は4角でやり、それから6角、8角とします
    また、スピードも非常に重要で、要所要所でのスピードコントロールが重要なポイントです

    一昔前には、ウインドエッジでの飛行を補うためにフライヤーが横移動するパターンがありましたが、これはもうやめる時期に来ているように思います
    ハイスピードでの横移動はラインをブレさせ、自分から見た図形も崩れがちになるだけです
    更にはジャッジが一緒に移動してしまうと、もっと図形が崩れるわけです
    移動は前後のみに絞り、スピードコントロールで全てを補うのがベストと考えます

    これはあまり知られてないようですが、トラディションも非常に重要です
    すなわち「継ぎ目」ですが、マヌーバを描く際にカイトをどの位置に持ってきて入るか、ということです
    例えば「ハートビート」のようにウィンドエッジから入るマヌーバは、ある程度のスピードに乗ってないと描けませんが、カイトを上から持ってくるか、はたまた下から加速させるかで、入り方も違いますし、見栄えも全く違います

    その時の風の状況にもよりますし、カイトの性能でも違ってきますので、これが正解というのはありません、やはり自分で試すのが一番です

    ここまで読むと、聡明な方なら分かるはず!
    そう、ジャッジはフィールドに入った瞬間、もしくは入る前から見ています
    しっかりとフィールドを確認しない人は、端でレッドラインを気にしてやりにくそうだったり、ウィンドチェックを怠った人は「エアーポケット」に入り思わぬ苦戦をしたりと、ジャッジに対して「自分の」ウインドウインドウをアピールできません

    そうなるとジャッジは「ジャッジの」ウインドウインドウで見てしまいます
    また、インコールする前も重要で、入りに迷っているようなら、自分の自信のなさをアピールしてしまうわけです
    個人規定もいわゆる演技なので、いかに観客とジャッジに対してアピール出来るかに掛かっています

以上、個人規定に関して、いかがでしょうか?
あくまでも私からの注意事項なので、ジャッジ全員が同じ見方をするとは限りません

しかし、私が言いたいのは「ちょっと視点を変えて」練習してみてください、ということです
あくまでも、カイトの演技は「他の人が見て」判断されるモノです
自分が正しいと思っても結果が出なければ、そこには何らかの原因があるわけです、これは自分を追求しても答えは見つかりません

いろんな方の意見を参考にしてください、きっといい答えが見つかるはずです
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