相良です、今回はクワッドのカイトチューニングについてです
僕のフライトスタイルは、あくまでも「スピード」と「パワー」に重点を置いてます
この条件をクリアするためには、当然ながらそれに見合ったカイトを使ってるわけですが、それでも満足していないのでチューニングの必要性が出てきた訳です
但し、このチューニングは僕のフライト条件を満たすものであって、これを真似したから上手くなるというものでもありませんし、カイトの性能を100%引き出すものでもありません
僕のフライトスタイルを見て、共感できる方だけが試してみてください
このチューニングは、明らかにカイトに負荷をかけているので、すぐ壊れるかもしれませんので、保証は一切出来ません
まずは「SHOCK WAVE」です
このカイトは、買ったときには本当にどうしようかと思ったくらい、気に入らなくて苦労しました
しばらくは使わずにいたのですが、それまで使っていた「REV1.5」がどうしようもないくらい揚がらなくなって悩んでいたので、しかたなく使い始めました
--- REVOLUTION KITES SHOCK WAVEの特性と傾向・対策 ---
- 従来までの正確性を求むフライトから、スピード・アクション重視として1998年に発売されたカイトの最大の特徴は、リーディングエッジに採用された新設計のロッド「スーパーリーディングエッジ」にある
- 従来までの軽量化の理念を覆したこのロッドは、今までとは比較にならないほどの強度を持つ
- この強度がこのカイトの性格をもっとも特徴づけることができたといえる、それを証明するのが同時期に発売された「REVOLUTION 1.5 SLE」である
- 以前のロッドでは、強風になればなるほどリーディングエッジがゆがみ、本来の平面カイトから立体に変化し、コントロールがままならない
また、微風だからといって2Wrapロッドを入れると、その影響がさらに顕著に出る
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ここで補足説明をしますが、完全な平面のカイトは全く飛びません
ウインド~ウィンドウはドーム型をしており、これに沿った形でないと風がうまく流れてくれません
この形に縦のシャフトを入れることによって、下へと風を流しています
スーパーリーディングエッジは、この理論を元にしてもっとも風を受けつつ、さらに強く風を流すことができるロッドといえます
これにより「REV1.5」は強風でも全く影響を受けず、更にポテンシャルの高いカイトとなりました
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しかし、「SHOCK WAVE」になると、次のような多くの問題があります
- 微風では全くあがらない
これはブライドルに原因がある、重量も一因である
- 強風では引きが強すぎる
これは効率よく風を受けすぎているせいである、REVシリーズはメッシュがあるため上手く風を逃がしている
- ターンをさせると滑る傾向にある
これは「SHOCK WAVE」の特徴の一つで、縦シャフトを4本にしたことにより、より下方へ風の流れを強調している
従ってよりシャープな操作が要求されるといえる、REVシリーズとは操作が違うのである、シナジーシリーズに若干近いかもしれない
以上の点をから、ブライドルを早急に改善すべきと考えた調整の経緯です
- 石狩新港:風速5~7m/s(推測)
強風でのフライト、脇をホールドしないとストレートに飛ばない、しかも風が強くないとうまく飛ばない
リーディングエッジが曲がらないとカイトが走らないことに気づく、微風でも曲がるようにしないといけない、ハンドル手前のライン調整も必要だ
- 旭川忠和公園:風速1~2m/s(推測)
ブライドルの長さを自在に調整できるようにした、テストで、だんだん飛ぶようになってきた
この内陸のフィールドはウィンドウィンドウが極端に狭く、下の方の風がないため「REV1.5」ではよく飛ばない
「SHOCK WAVE」のスピードは、強風時とさほど変わらず良さを感じるが、着地からスタートするまでが遅い
今回はトップサイドを縮め、センターを伸ばした
- 石狩新港:風速0~3m/s(推測)
風が安定しない
「SHOCK WAVE」は風速1m/s以下になると全く揚がらなくなる、調整してもこれが限界のようだ
360°をやってみると一度加速すれば走ってくれるようだ、ストップをやってみると止まっていられない、重くて落ちてしまう
ポイズナイビーもできるようになったが、どうしてもボトムにブライドルが絡んでしまう
そのため、サイドとボトムに絡み止めのボウラインをつけてみた、思った以上に効果有り
試しに「REV1.5」を飛ばしてみる
ちなみに「REV 1」のセイルを切ってDUALのロッドを入れたものだ、これが面白いくらい揚がる
しかし全くスピードがないが、良く止まっていられる、非常に対称的な仕上がりになってしまった
- 石狩新港:風速4~7m/s(推測)
試しに今までの曲で合わせてみるが、ステップターンが遅いため思うように合わせられない
ただ、カセットターン(注1)は何とかなりそうだ、スパイク(注2)も強烈に決まる
また、ストップしてからのスタートがどうしてもワンテンポ遅れてしまう
注1(カセットターン):スピードがあって切れのいいターン、バレーでよく使う
注2(スパイク):「これでもか」という位思いっきりトップスピードでのチップランディング、決まると地面に刺さって抜けなくなる
- 旭川忠和公園:風速1~2m/s(推測)
どうもブライドルが伸びてしまった気がする、以前の精細さが感じられなくなった、セイルもシワが寄ってきた
このチューニングは、カイトにかなり負担をかけているようだ
ホバリングやバックが安定しない、ブライドルを計り直してみるとズレていた、ブライドルラインを200ポンドから250ポンドのケブラーに変えた
- 石狩新港:風速0~1m/s(推測)
全く風がない、50ポンドのラインを使ってみた
「REV1.5」は良く揚がるがスピードがない、バレー演技にはかなり苦労しそうだ
「SHOCK WAVE」は0.8m/sくらいが限界だろう、スピードは出るが、細かい演技は苦手だ、規定は無理だろう
- モエレ沼公園:風速3~5m/s(推測)
この公園は非常に狭く、隣は林
ラインは80ポンド26m、風が巻いてもあまり関係がないのが分かったが、連続でダッシュすると結構つらい、どうしても下がってしまう
- 石狩新港:風速2~3m/s(推測)
ブライドルラインが切れてた、どうも遅いわけだ
250ポンドから300ポンドに変更、上側の二本に負担がかかっているようだ
以上の結果を基に、下図に示すブライドルでほぼ決定しました。
ラインは80ポンド26mがベスト、微風用は50ポンド26mと言うセッテイングになりました
カイトはチューニングによる負担が非常に大きく、セイルのゆがみも激しいため、2~3シーズンが限度と思われます
個人差・使用頻度にもよりますが、透明部分の破れ、セイルの破損、リーディングエッジ部の破れ等が出てきます
強風では非常にテンションが高くなりすぎコントロール不能に陥りやすいため、「SUPER SONIC」の使用を薦めます
「SUPER SONIC」は完成度が高く、ほとんどノーマルでもいけるでしょう
ターン操作は非常にシビアで、Dual Line Kiteのように失速させることなくフォワードを入れながら、ワンショックで入れるという高度な操作が必要です
ただし、これによりREVシリーズよりも格段に早いターンが可能です
規定も、テンションを逃がすことなくフォワードを押さえながらだと、かなり安定することが判明しました、この際はラインを30mにする事を勧めます
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総合的に「SHOCK WAVE」は規定・バレーともに、勝つためのカイトといえますが、それには練習と研究が必要です
なお、風速1m/s以下でフライトしたい場合は、あまり勧められませんがリーディングエッジを入れ替えると、よく飛んでくれます
センター4ラップ・エッジ3ラップが一番軽くなります
弱・中風時では縦4本のロッドは2ラップの方がよさそうです
しかし、判断を誤ると本来の性能を損ねてしまうので注意が必要です
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次に「BLAST」です
色々試す機会がありしましたが、僕のフライトスタイルと合わず、購入は見送りました。
しかし、僕のチューニングにとって大きな改革となりました
まずブライドルのポイント変更で、更にウインドレンジが増し、違和感なくウインドエッジでの操作が可能になってます
また、この大きさでの[SLE」ですが、ULバージョンになってます
これは付属のロッド(HW)と比較すると分かりますが、よりしなりやすいロッドを使うと風のホールド性が増し、微風での操作が可能となってます
これと同じことを、僕はブライドルで無理矢理やった訳ですが、ロッドを替えることでより素直な飛びになります
このカイトは初心者でも安心して飛ばせて、なおかつ規定が得意と感じました
これに近いのが「SUPER SONIC」です
だから風があれば、「SUPER SONIC」はチューニングしなくても、そこそこ操作しやすいのです
しかし、それでもホールド性では「BLAST」の方が断然上です
そこで、今までのデータをフィードバックしつつ、このニューカイトの技術を取り入れてみました
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これで、スピードが更に増したにもかかわらず、安定性もあり、キレも十分です
強風時の対応も可能になりました
以上で僕のクワッドチューニングは終わりですが、未だ発展段階なのでこれからも進化し続けるでしょう
チューニング時の心得としては、ノーマルの状態をよく調べることです
そのカイトの特色をよく知り、どういった方向性を求めていくかをしっかり考えましょう、本来の性能を失っては本末転倒になりかねないからです
また、最初の状態をメモしておきましょう、僕はロッドの種類やブライドル長、チューニングの記録も全て取っています
方向性を見失ったときすぐに原点に立ち返るためです
更には、様々な方から見聞きした情報を鵜呑みにしないで下さい、その通りにしたからといって、その方には最良でも、自分にとっていい結果になるとは言い切れないからです
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筆者紹介:
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相良真市(shin)/北海道旭川市在住
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コメント: |
スポーツカイト、特にクワッドラインのバレー種目では、"相良スタイル"と呼ばれる激しくキレの良い動きで独自の世界を展開し、他のフライヤーにも大きく影響を与えている |
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